に
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はら/\と松葉吹きこぼす狹庭には皆白菊の花さきにけり
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次の日、庭は熊手もてくまなく掻きはらはれたれど
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白菊のまばら/\はおもしろくこぼれ松葉を砂のへに敷く
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十四日、夜にいりて雨やまざれど俄かにおもひ立つことありて久保博士をおとなふ
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しめやかに雨の淺夜を籠ながら山茶花の花こぼれ居にけり
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俄かに九度近くのぼりたる熱さむることもなく、三十日ばかりの間は只引きこもりてありければ、常は季節に疎しともおもはざりける身の山茶花の花をみることもはじめてなればいま更のごとく驚かれぬるに
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吸物にいさゝか泛けし柚子の皮の黄に染みたるも久しかりけり
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幾時なるらむ、めざめて雨のはげしきおとをきく
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松の葉は復たこぼるらし小夜ふけて廂に雨の當るをきけば
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十五日、ふとかの十坪に足らぬ裏の庭をみおろすに、そこにもわかき木の一もとはありて
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