て居ると茶の間では無駄話し、
 神戸へ行つた時、チャン/\の小供が芋を噛ぢつて居たから手を出したらアカンべーをしたつけなどゝ清兵衛がいつて居る、
 鷄また宵時をつくる、牛乳二合、

 六日、金曜、曇、陰鬱なる空から折々日光を見る、風吹いて寒し、
 小便酒臭し、これは寢しなに睡眠剤として少しやつたからである、下戸といふものは恐ろしいものである、冷水浴いつもの如し、
 けふ舊※[#「暦」の「木」に代えて「禾」、第3水準1−85−39]の二月八日、屋根へ目籠を立てる、一つの目の鬼が夜になると家内を覗ひに來るのであるが、目籠さへ立てゝ置けばその目の夥しいので怖れて逃げてしまふので人間が無事で濟むのだといふ言ひ傳になつて居る、それでその鬼が何のために來るのかどうかちつとも解らない、かういふこともいふ、この日福の神樣が世間へ稼ぎに出て十二月の八日に歸つて來るのである、これも何のことかちつとも解らない、
 左千夫よりはがき、自分がいつてやつた調子論大體同感、機關雜誌に就ての意見尤もの點が多いとある、
 庭の松葉を取拂ふ、男一人、女二人、松葉の土に付いた所は腐りかゝつて居る、
 椚眞木の調べに北原へ行
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