記]で三四人しか居なかつた、茶の間には茶碗や盃が狼藉として居る、一升も熬つた豆が忽ちに平げられたといふ話である、
子供達が學校から歸つて見に來た、彦といふ七八つの兒が感に堪へたさまで二拾錢銀貨二つかけた位は出たらうといつたので大笑ひをした、
庭の梅散りしきて白し、
十一日、曇、泣き出しさうなり、
郵便左千夫より、日本週報課題春雨の歌に就いて詳細の論である、
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……今出たのを見ると君のは意外に少ない……君のは四首や五首ではあるまい、外の歌はどんな歌か見せ給へ、例令人々考が異りたりとて半數以上を削るは削る方が無理か詠者が無理かお互に少し注意せねばならぬと思ふ、實際歌がよくないとすれば半數も削られるやうな歌を送るは選者を困らせること少なからず、同人間ではこの邊少し考へねばならぬ……
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これがその冒頭だが、自分の作つたのは二十首で入選の歌は四首、半數どころか五分の一のみ、これは作者の惡いのであつた、返事を書かと[#「書かと」はママ]したが筆が澁つたのでよす、かういふことはたび/\である、頭のわるいこと醉へるが如くである、
午後、至急の郵
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