そして「わたしは知らないが裏の子供にきいて上げよう。あの子がメレリさんの使《つかい》をしたことがあるかもしれないから――、」
 女の人は店を出ていってその少年を呼びました。少年はすぐにきました。そして「メレリさんはメキネズさんの所へゆかれた。時々わたしも行きましたよ。ロスアルテス街のはしの方です。」
 と答えてくれました。
「ああ、ありがとう、奥さん」
 マルコは叫びました。
「番地を教えて下さいませんか。君、僕と一しょに来てくれない?」
 マルコは熱心にいいましたので少年は、
「では行こう」
 といってすぐに出かけました。
 二人はだまったまま長い街を走るように歩きました。
 街のはしまでゆくと小さい白い家の入口につきました。そこには美しい門がたっていました。門の中には草花の鉢がたくさん見えました。
 マルコはいそいでベルをおしました。すると若い女の人が出てきました。
「メキネズさんはここにいますねえ?」
 少年は心配そうにききました。
「メキネズさんはコルドバへ行きましたよ。」
 マルコは胸がドキドキしました。
「コルドバ? コルドバってどこです、そして奉公していた女はどうなりまし
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