たか。わたしのおかあさんです。おかあさんをつれて行きましたか。」
マルコはふるえるような声でききました。
若い女の人はマルコを見ながらいいました。
「わたしは知りませんわ、もしかするとわたしの父が知っているかもしれません、しばらく待っていらっしゃい。」
しばらくするとその父はかえってきました。背の高いひげの白い紳士でした。
紳士はマルコに
「お前のおかあさんはジェノア人[#「ジェノア人」は底本では「ジェノマ人」]でしょう。」
と問いました。
マルコはそうですと答えました。
「それならそのメキネズさんのところにいた女の人はコルドバという都へゆきましたよ。」
マルコは深いため息をつきました。そして
「それでは私はコルドバへゆきます。」
「かわいそうに。コルドバはここから何百|哩《まいる》もある。」
紳士はこういいました。
マルコは死んだように、門によりかかりました。
紳士はマルコの様子を見て、かわいそうに思いしきりに何か考えていました。が、やがて机に向って、一通の手紙を書いてマルコにわたしながらいいました。
「それではこの手紙をポカへ持っておいで、ここからポカへは二時間
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