母を尋ねて三千里
アミーチス
日本童話研究会訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)家《うち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)何百|哩《まいる》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「ずつ」は底本では「ブフ」]
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一
もう何年か前、ジェノアの少年で十三になる男の子が、ジェノアからアメリカまでただ一人で母をたずねて行きました。
母親は二年前にアルゼンチンの首府ブエーノスアイレスへ行ったのですが、それは一家がいろいろな不幸にあって、すっかり貧乏になり、たくさんなお金を払わねばならなかったので母は今一度お金持の家に奉公してお金をもうけ一家が暮せるようにしたいがためでありました。
このあわれな母親は十八歳になる子と十一歳になる子とをおいて出かけたのでした。
船は無事で海の上を走りました。
母親はブエーノスアイレスにつくとすぐに夫の兄弟にあたる人の世話でその土地の立派な人の家に働くことになりました。
母親は月に八十リラずつ[#「ずつ」は底本では「ブフ」]もうけましたが自分は少しも使わない
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