新しい街にくるたび[#「たび」は底本では「旅」]に、それが自分のさがしている街ではないのかと思いました、また女の人にあうたびにもしや自分の母親でないかしらと思いました。
マルコは一生懸命に歩きました。と、ある十文字になっている街へ出ました。マルコはそのかどをまがってみると、それが自分のたずねているロスアルテス街でありました。おじさんの店は一七五番でした。マルコは夢中になってかけ出しました。そして小さな組糸店にはいりました。これが一七五でした。見ると店には髪の毛の白い眼鏡をかけた女の人がいました。
「何か用でもあるの?」
女はスペイン語でたずねました。
「あの、これはフランセスコメレリの店ではありませんか。」
「メレリさんはずっと前に死にましたよ。」
と女の人は答えました。
マルコは胸をうたれたような気がしました、そして彼は早口にこういいました。
「メレリが僕のおかあさんを知っていたんです。おかあさんはメキネズさんの所へ奉公していたんです。わたしはおかあさんをたずねてアメリカへ来たのです。わたしはおかあさんを見つけねばなりません。」
「可愛そうにねえ!」
と女の人はいいました。
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