女はきらきらする目で奥さんを見ました。[#「。」は底本では欠落]そしてありったけの力を出して頭をあげました。
その時でした、ぼろぼろの服をきてほこりだらけになったマルコが入口に立ったのでした。
女はびっくりして「あっ」と叫び声をあげました。
マルコはかけよりました。母親はやせた細い手をのばしてマルコをだきしめました。そして気ちがいのように「どうしてここへ来たのほんとうにお前なのか。本当にマルコだねえ、ああほんとうに」と叫びました。
女はすぐに医者の方をむいていい出しました。
「お医者様、どうぞなおして下さい。早く手術をして下さい。わたしは早くよくなりたいです。どうぞお医者さま、マルコに見せないで。」
マルコは主人につれられて部屋を出ました。[#「。」は底本では欠落]奥さんも女たちもいそいで出てゆきました。
マルコは不思議でなりませんでしたから、
「おかあさんをどうするのですか。」
と主人にたずねました。
主人はおかあさんが病気だから手術を受けるのだといいました。
と不意に女の叫び声が家中にひびきました。
マルコはびっくりして「おかあさんが死んだ。」と叫びました。
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