医者は入口に出て来て「おかあさんは助かった、」といいました。
マルコはしばらくぼんやりと立っていましたが、やがて医者の足許へかけていって泣きながら、
「お医者さま、ありがとうございます[#「ございます」は底本では「ざざいます」]。」
といいました。
しかし医者はマルコの手をとってこういいました。
「マルコさん。おかあさんを助けたのは私ではありません。それはお前です。英雄のように立派なお前だ!」
底本:「家なき子」九段書房
1927(昭和2)年10月15日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「或る→ある かも知れ→かもしれ 位→くらい 毎→ごと 沢山→たくさん 只→ただ 一寸→ちょっと (て)見→み (て)貰→もら」
※底本は総ルビですが、一部を省きました。
※底本中、混在している「コルドバ」「コルトバ」「ゴルドバ」「エルドバ」「マルドバ」は原文をチェックの上、「コルドバ」に統一し
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