すすめました。
「いけません。いけません。私は早くおかあさんにあわなければなりません。すぐにゆきます。」
マルコの強い心に動かされて、宿屋の主人は一人の男をわざわざ町はずれの森まで送ってよこしました。マルコは大変よろこんで教えてもらった道を急ぎました。道の両がわにはこんもりとした並木が立ちならんでいました。マルコは足のいたいことも忘れて歩きました。
その夜母親は大そう苦しんでもう息も切れ切れに、「お医者さまを呼んで下さい。助けて下さい。わたしはもう死にます。」
といいました。
主人や奥さんや女中たちは女の手をとってなぐさめました。
もう夜中でありました。マルコはもう歩む力もなくなっていく度となくころびました、けれどもマルコは「おかあさんにあえるのだ。」という心が胸にわいてきて足のいたいことも忘れてしまいました。
やがて東の空がしらじらとあけてきて、銀のような星も次第に消えてゆきました。
朝の八時になりました。ツークーマンのお医者さんは若い一人の助手をつれて病人の家へ来ました。そしてしきりに手術をうけるようにすすめました。メキネズ夫婦もそれをすすめました。けれどもそれは無駄
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