親方はマルコの様子をじろじろと見ながら
「お前をのせてゆく場所がない。」
とつめたく答えました。
マルコは一生懸命になって、たのみました。
「ここに十五リラあります。これをさしあげます。そして途中で働きます。牛や馬の飲水もはこびます。どんな御用でもいたします。どうぞつれて行って下さい。」
親方はまたじろじろとマルコを見てから、今度はいくらかやさしい声でいいました。
「おれたちはツークーマンへゆくのではない、サンチヤゴという別の町へゆくのだよ。だからお前をのせていっても途中で下りねばならないし、それに下りてからお前はずいぶん歩かなければならぬぞ。」[#「」」は底本では欠落]
「ええ、どんな長い旅でもいたします。どんなことをしましてもツークーマンへまいりますからどうかのせていって下さい。」
マルコはこういってたのみました。
親方はまた、
「おい二十日もかかるぞ。つらい旅だぞ。それに一人で歩かねばならないのだぞ。」
といいました。
マルコは元気そうな声でいいました。
「はいどんな事でもこらえます、おかあさんにさえあえるなら。どうぞのせていって下さい」
親方はとうとうマルコの
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