熱心に動かされてしまいました。そして「よし」といってマルコの手を握りしめました。
「お前は今夜荷車の中でねるのだよ。そして明日の朝、四時におこすぞ。」
親方はこういって家の中へはいってゆきました。
朝の四時になりました。星はつめたそうに光っていました。荷車の長い列はがたがたと動き出しました。荷車はみな六頭の牛にひかれてゆきました。そのあとからはたくさんな馬もついてゆきました。
マルコは車に積んだ袋の上にのりました。がすぐに眠ってしまいました。マルコが目をさますと、荷車の列はとまってしまって、人足《にんそく》たちは火をたきながらパンをやいて食べているのでした。みんなは食事がすむとしばらくひるねをしてそれからまた出かけました。みんなは毎朝五時に出て九時にとまり、夕方の五時に出て十時にとまりました。ちょうど兵隊が行軍するのと同じように規則正しくやりました。
マルコはパンをやく火をこしらえたり牛や馬にのませる水をくんできたり角灯の掃除をしたりしました。
みんなの進む所は、どちらを見ても広い平野がつづいていて人家もなければ人影も見えませんでした。たまたま二三人の旅人が馬にのってくるのに
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