勸告してくれたのですが、福田氏は入社せよとすすめてくれました。かうして『平民新聞』第三號には次のやうな入社の辭が掲載されました。
予、平民社に入る
[#地から3字上げ]旭山 石川三四郎
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予今平民社に入る、入らざるを得ざるもの存する也、何ぞや、曰く夫の主義てふものあり、夫の理想てふものあり、然りと雖ども予の自ら禁する能はざるものは啻に是れにのみに非ず、否寧ろ他に在て存する也、堺、幸徳兩先輩の心情即ち是れのみ、彼の南洲をして一寒僧と相抱きて海に投ぜしめしは是れに非ずや、彼の荊軻をして一太子の爲めに殉せしめしは是れに非ずや、徒らに理想と言ふ勿れ、主義と呼ぶ勿れ、吾は衷心天來の鼓吹を聞けり、曰く人生意氣に感ずと、
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まことに不思議な文章です。萬朝報の編集局長松井柏軒氏などは素晴らしい名文だと褒めてくれたのですが、今日では、私自身でさへ、別世界の人の言葉としか思へないから、他人さまはさぞ不可解に感じられるでありませう。しかし、よくよく咀嚼して見ると、耶蘇教でもなく社會主義でもない私自身のその時の心情がにじみ出てゐると思ひます。おそろし
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