が羽を磨く時、めん鶏が砂をかぶつて蠢動する時は雨が降る。又、雨が近づくと、クロバの様な草類の茎が直立し、「われもこう」の花が開き、夜間は閉ぢらるべき「シベリアちさ」の花が開いた儘でゐ、朝になつて開くべき「アフリカ金盞花」は開かずにゐる。
空模様の観察[#「空模様の観察」に丸傍点] 空が異常に透明な時、遠方の物音が平常よりも明かに響く時、星の閃きが鋭い時は、雨の報せと知れ、月が朦にぼけた時、切れ切れの雲が地平線上に現はれる時、は風の報せと知れ、月や日が傘をかぶつた時は、必ず風つきの雨が襲つて来る。
俚諺のかず/\[#「俚諺のかず/\」に丸傍点]
三月は、お母さんの綿を買つて、(まだ寒い期節)三日後には売り飛ばす。(天気が定まらぬ)
三月は気ちがい。(天気が定まらぬ)
三月は同じ日が二度とない。
四月は泣いたり、(降雨)笑つたり[#「笑つたり」は底本では「笑ったり」]。(晴天)
四月一ぱいは薄着をするな。
五月には泥棒が生れる。(野に果物野菜が出来始める。草木が叢生して泥棒が匿れ易い)
聖バルナベ(六月十一日)には、鎌を持つてマレム(牧畜の地方)に行け。
八月の太陽は野
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