に於て継続的に進歩するとすれば、それは社会が規則的により[#「より」に傍点]稠密になり、また一般的により[#「より」に傍点]大きくなるからである」といふ定則を作つてゐる。更に進んでデユルケムは言ふ、社会がより[#「より」に傍点]大きくより[#「より」に傍点]稠密になるに従つて事業が益々分化するのは、それは生存のための闘争がより[#「より」に傍点]緊張するからであると。それは諸人が同様な目標を立てて進めば競争が激しくなるが、異なつた目標に進む時は競争はないからである。けれどもデユルケムのこの議論は些かダア※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ニズムの一面に固着した傾きがありはしないか。
 生存競争なぞは甚だしくなくても、自我意識が発達する場合には自ら分業が起つて来たのではないか。特に工業と美術とが分離しない時代に於ては、芸術的自尊心によつて諸種の工芸がその天才の家系に一種の秘伝として伝はり、従て諸家の間に自ら分派、分業が起つたであらう。学問、知識に於ても矢張り同様に、或は陰陽術、或は文章学等の諸知識が家伝として分業的に伝はりもした。『古事記』神代紀、天の石屋戸会議の条に、「八百万神、天安
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