のであったかもしれない。
夢を実現することは、ちょっとやそっとではない。支部図書館をつくるとき、各省から集まって議論があった。立法機構から行政機構に、一種の任命権をもつことからが無理な夢なのである。議論は全然まとまらないのである。あわや混乱かと思えた空気であった。私は思わずいったのであった。これが法的に無理である事はわが館の方がよく知っている。アメリカですらできない夢なのである。しかし、何故そんな無理を私達は課せられているのであろうか。おそらく、それは「現実」がそれを求めているからではなかろうか。世界のスポットライトを浴びて、それを完成するもしないも、みなさんの決意次第である。
私は今、あの丹那トンネルを思い起す。十数年間それが不可能であると、あらゆる新聞からたたかれながら、黙々とあれを敢行した日本技術陣の涙は容易ならざるものがあった。私達はあの人達の思いをもう一度、この文化技術陣の者として思い返して見たいと考えたのであった。その後一年の今、二十四の図書館が、アメリカにない偉容をもって各省その他(学術会議をもふくめて)にできて、三百八十万冊の図書館資料を、一つの統一のもとに動かしつ
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