すぎない。そこにはただ函数論組織構成があるのみである。
 しかし、ここにこそ、再び検討さるべき問題が残っている。

 3

 社会的集団的関連体の一要素としての自己の意識は、フランスの美学者ギュヨーが正当にもソリダリテとよんだところの感情である。組織意識である。一つの集団の欠くべからざる位置づけにおいて自我をハッキリ見いだすことである。この組織意識には単なる形式としての義務の理念を越えて、むしろ内容より、換言すればその要素の中に複合構成の全貌を見通すところのものが含まれている。ソリダリテの感情とはそれを指す、オルガナイズの情趣ともいわるべきものである。熱情が秩序の中に、秩序が熱情の中にある。この意識を運べる個人の要素が、その集団から生産構成されたもの、例えば機械のごときものを見るとする。機械の構成はあくまで機能的、いわば函数的である。機械の構成体の一部をなす歯車の一回転も、その全組織の構造の欠くべからざる一要素である。あたかも個人が社会的集団的性格の一要素であるように、歯車はこの機械なる物理的集団的性格の一要素である。この意味で社会的集団的性格は、その生産したる物理的集団的性格と情趣の
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