するところの実験体である。
人間の憧るる、この新しき未知なる秩序と統制、これが動けるロゴスであり、形成されんとするモルフェでもある。それは朗らかといわんにはあまりにももの醒めたる凄みと精緻性をもっている。あたかも強靱、巨大、精巧なる機械が私たちに喚びかけるものがそれである。われわれは性急にライプニッツの予定調和を信ずるものではないけれども、この社会的集団的性格が構成せる物理的集団的性格が、あまりにも相互等値的に射影的でもあるのに驚異を感ずるものである。そしてこの物理的集団的性格は、社会的集団的性格に向かって、逆に喚びかけつつある。
リップスの感情移入はコーヘンが指摘するごとく、ロマンティクの同一哲学の系統を明らかに引いている。いわば自我[#「自我」に傍点]が物に融合する根本的契機の心理学的演繹である。自我と物が個物として相対し、主観と客観、形式と内容と対立すればこそ、そこに統一と多様もあるのである。それはカッシラーの指摘した実体概念的思惟方法である。機能概念的考え方をもってすれば、いわばすでに自我は一瞬一瞬無限により深い組織と関連体に展開していくところの関係の、無限なる射影面にしか
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