はナップ等がこの企業組織の一角に自らを位置づけようともがいているのも又それである。この企業は多くの企業がそうであるように、損害(完全に経済的意味に於て)を蒙ってたおれて行く、それは例を挙ぐるまでもあるまい。
この自己企業化は一つの特殊な構造をもっている。即ち注意すべきことは、それはかつて文壇と称していた手工業的、個人主義的、天才的要素をもった個別性[#「個別性」に傍点]が漸く影を没しはじめて「組織」なる未知の巨大なる影が芸術の上に落ちて来ることである。
多くの天才的なる芸術家が、その各々の個性の自由なる表現を目図して作った自己企業が、全然思わざる影によって掻っさらわれて行く、云わばそこに雑誌なら雑誌としての新しい社会的集団的性格[#「社会的集団的性格」に傍点]が出現して、その性格[#「性格」に傍点]の下に多くの天才がその個性[#「個性」に傍点]を蜜蜂の巣の様に多角形的にひしめき集ることとなる。そこで(註 このあと数字欠字)壇[#「壇」に傍点]は団[#「団」に傍点]へと解体され再組織化されることとなる。云わば手工業型態なり資本的企業型態に転換する。先に個別的[#「個別的」に傍点]、天
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