「壇」の解体
中井正一
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)寂《ひそ》かに
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)にわ[#「にわ」に傍点]
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文壇、画壇、楽壇、歌壇、俳壇、乃至学壇、評壇等々、それはそれぞれ犯すべからざる神聖なるにわ[#「にわ」に傍点]である。空間的な特殊ななわ[#「なわ」に傍点]張りである。その中に置かれることで、或種の安心と尊敬をむさぼることの出来る一つの聖域である。人々はその中に祭られんことをのみ希っている。
又別の考え方より見れば、動物が自らを保護せんために群れ[#「群れ」に傍点]をなし、群れ[#「群れ」に傍点]の一部分となることで或種の安心をもつこと、これが人間それ自身を他の動物より区別せしめ、また人間同士ではその中で各々の群れ[#「群れ」に傍点]を構成して行くこととなる。恰も羊の群れが獅子の攻撃に対して方陣を布く様に、人々は各々の群に於てその角を揃える。
このことはその群つどいが、実はその角の方陣の中にもぐり込むことを意味するのであって、ひくい意味に於てそれは逃避でもある。
このことが、次の様
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