形式的統一を望まず」に傍点]、若し強て形式的統一を求めむとせば[#「若し強て形式的統一を求めむとせば」に傍点]、之れを合議體と爲して多數決政治を行ひ[#「之れを合議體と爲して多數決政治を行ひ」に傍点]、總べて黨議を以て黨員を節制すると共に[#「總べて黨議を以て黨員を節制すると共に」に傍点]、内閣をして亦[#「内閣をして亦」に傍点]、黨議に服從せしめ若し内閣にして之れに服從せずむば[#「黨議に服從せしめ若し内閣にして之れに服從せずむば」に傍点]、直に其閣員を黨籍より除名して[#「直に其閣員を黨籍より除名して」に傍点]、内閣と政黨との關係を絶つまでの事なり[#「内閣と政黨との關係を絶つまでの事なり」に傍点]、されど是れ決して政黨の本色に非らず[#「されど是れ決して政黨の本色に非らず」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]政黨には必らず統一の中心たる首領を要し[#「政黨には必らず統一の中心たる首領を要し」に白丸傍点]、首領は名義上の首領にあらずして[#「首領は名義上の首領にあらずして」に白丸傍点]、實權を有する首領ならざる可からず[#「實權を有する首領ならざる可からず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]實權ある首領とは[#「實權ある首領とは」に二重丸傍点]、則ち黨員を同化し得るの首領を謂ふ[#「則ち黨員を同化し得るの首領を謂ふ」に二重丸傍点]、同化の結果は[#「同化の結果は」に二重丸傍点]、首領の專制と爲り[#「首領の專制と爲り」に二重丸傍点]、黨員の盲從と爲りて主權首領に歸す[#「黨員の盲從と爲りて主權首領に歸す」に二重丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]則ち形式上の統一と全く其根本的意義を異にするものなり[#「則ち形式上の統一と全く其根本的意義を異にするものなり」に二重丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]英國政黨内閣の妙處は、實に首領專制、黨員盲從の慣例能く行はるゝが爲めならずや。
 されど此慣例は黨規を以て定む可からず[#「されど此慣例は黨規を以て定む可からず」に傍点]、又首領と黨員との約束に依て成立す可からず[#「又首領と黨員との約束に依て成立す可からず」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]唯だ一大同化力ある人物ありて[#「唯だ一大同化力ある人物ありて」に白丸傍点]、自然に黨員を服從せしめ[#「自然に黨員を服從せしめ」に白丸傍点]、以て自然に全黨を左右するの實權を握るに在るのみ[#「以て自然に全黨を左右するの實權を握るに在るのみ」に白丸傍点]、大隈伯にして果して憲政黨を同化するの力量あらむか、必ずしも進歩自由兩派の舊形依然たるを憂へず※[#白ゴマ、1−3−29]必ずしも兩派の嫉妬軋轢熾んなるを憂へず※[#白ゴマ、1−3−29]必らずしも異論群疑の紛々囂々たるを憂へず※[#白ゴマ、1−3−29]爭ひは益々大なる可し[#「爭ひは益々大なる可し」に白丸傍点]、議論は益々騷然たる可し[#「議論は益々騷然たる可し」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]同化力ある人物は必らず之を統一せむ[#「同化力ある人物は必らず之を統一せむ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]斯くの如くにして統一せられたる政黨は[#「斯くの如くにして統一せられたる政黨は」に白丸傍点]、始めて眞個の力量ある首領を發見せむ[#「始めて眞個の力量ある首領を發見せむ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]されど同化の前には淘汰を必要とす※[#白ゴマ、1−3−29]漫に大食すれば必らず胃病を生ずるを以てなり※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯の同化力を以てすと雖も、豈悉く憲政黨を同化すべけむや※[#白ゴマ、1−3−29]之れを同化する能はずして唯だ一時の姑息を事とするときは、堅實なる政黨内閣は終に見る可からず※[#白ゴマ、1−3−29]大隈内閣は遂に土崩瓦解せざる可からず、知らず大隈伯は如何にして目下の問題を解釋せむとする乎。(三十一年八月)

     人民の代表者

 興國の機運に乘じて、露國征伐を斷行したる現内閣は、今や國民の全後援を集中して、徐ろに未來の成功を望みて前進しつゝあり。特に總理大臣桂伯と直接に和戰の票決を爲したる外務大臣小村男とは[#「特に總理大臣桂伯と直接に和戰の票決を爲したる外務大臣小村男とは」に傍点]、唯だ此の一擧に由りて[#「唯だ此の一擧に由りて」に傍点]、遽かに古今無雙の英雄となりたるものゝ如し[#「遽かに古今無雙の英雄となりたるものゝ如し」に傍点]。然れども彼等は[#「然れども彼等は」に白丸傍点]、其の展開したる大舞臺の役者としては餘りに陰氣にして[#「其の展開したる大舞臺の役者としては餘りに陰氣にして」に白丸傍点]、且つ餘りに沈欝なるが爲に[#「且つ餘りに沈欝なるが爲に」に白丸傍点]、世界は彼等以外に更に實力ある人物の國民を指導する
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