巳[#「大石正巳」に傍点]、末廣重恭の三氏を抑留する能はざりき[#「末廣重恭の三氏を抑留する能はざりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]曾て革新派の一大分裂を禦ぐ能はざりき[#「曾て革新派の一大分裂を禦ぐ能はざりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]大井憲太郎氏の一派を容るゝ能はざりき[#「大井憲太郎氏の一派を容るゝ能はざりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]河野廣中氏の一派を脱黨せしめたりき[#「河野廣中氏の一派を脱黨せしめたりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]星亨氏の強頂を制する能はざりき[#「星亨氏の強頂を制する能はざりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]松田正久氏の剛直を融和する能はざりき[#「松田正久氏の剛直を融和する能はざりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]時としては自由黨をして四分五裂の危機に瀕せしめたることありき[#「時としては自由黨をして四分五裂の危機に瀕せしめたることありき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]斯くして自由黨は尾大不掉の状態を現出したりき[#「斯くして自由黨は尾大不掉の状態を現出したりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]其同化力の缺乏せる以て見る可し[#「其同化力の缺乏せる以て見る可し」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]然るに大隈伯は之れに反し、其率ゐる所の黨與をして次第に膨脹せしめたり※[#白ゴマ、1−3−29]明治十四年改進黨の成立するや、當時伯の眞黨與と目す可きものは實に少數の人物にして、所謂る嚶鳴派と稱するものは、河野敏鎌氏を中心として大隈伯に頡頏せむとしたりき※[#白ゴマ、1−3−29]されど伯は次第に之れを同化して終に忠實なる大隈黨たらしめたりしに非ずや[#「されど伯は次第に之れを同化して終に忠實なる大隈黨たらしめたりしに非ずや」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]例へば伯が二十二年の入閣に際して、改進黨中之に反對するもの少なからざりしに拘らず、條約改正問題起るに及んで、全黨一致して伯の政略を辯護したる如き、蓋し大隈伯の同化力が能く改進黨の勢力を統一せしめたる結果に外ならじ※[#白ゴマ、1−3−29]爾後大隈伯は直接に改進黨に關係せず、早稻田に退隱して、悠々閑日月を送りしと雖も、改進黨が常に其歩武を整齊して議會に屹立し[#「改進黨が常に其歩武を整齊して議會に屹立し」に傍点]、以て能く非藩閥同盟の中堅たりしもの[#「以て能く非藩閥同盟の中堅たりしもの」に傍点]、亦大隈伯に依て其勢力を統一せられたるに由れり[#「亦大隈伯に依て其勢力を統一せられたるに由れり」に傍点]、二十九年進歩黨の成立と共に、改進黨は直に解黨して其一分子と爲りと雖ども、是れ改進黨の解黨に非ずして[#「是れ改進黨の解黨に非ずして」に白丸傍点]、寧ろ改進黨の膨脹したるものと謂ふ可し[#「寧ろ改進黨の膨脹したるものと謂ふ可し」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]適切にいへば[#「適切にいへば」に白丸傍点]、大隈伯の發達したる現象に過ぎず[#「大隈伯の發達したる現象に過ぎず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]何となれば、此進歩黨は大隈伯を以て事實上の首領と爲し、一切の行動大抵大隈伯の指揮より出でたればなり※[#白ゴマ、1−3−29]進歩黨は由來理窟屋の集合にして、特に或る一派は久しく大隈伯を敵視したるものなりき※[#白ゴマ、1−3−29]而も其一旦進歩黨の名の下に大隈伯と接近するに及で[#「而も其一旦進歩黨の名の下に大隈伯と接近するに及で」に白丸傍点]、自然に大隈伯の意見に同化せられ[#「自然に大隈伯の意見に同化せられ」に白丸傍点]、自然に大隈伯に服從して毫も疑はざるに至りしは何ぞや[#「自然に大隈伯に服從して毫も疑はざるに至りしは何ぞや」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]是れ豈伯が黨首として最も必要なる同化力を有する爲ならずや[#「是れ豈伯が黨首として最も必要なる同化力を有する爲ならずや」に白丸傍点]。
今や其進歩黨は更に自由黨と合併して憲政黨と爲り、大隈伯を總理として内閣を組織したるに於て、伯にして苟も偉大の同化力を有せば其憲政黨を同化して大隈黨たらしむること、猶ほ進歩黨を同化したるが如くなる可きも憲政黨は果して大隈伯に同化せらる可きや否や※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯は果して憲政黨までも同化するの力量あるや否や※[#白ゴマ、1−3−29]是れ確かに目下に横はれる試驗問題なり。
大隈伯と憲政黨
憲政黨は成立日尚ほ淺くして、未だ混沌の境を出づる能はず※[#白ゴマ、1−3−29]况むや進歩自由兩派の舊形依然として實存するに於てをや※[#白ゴマ、1−3−29]されど余は憲政黨の爲めに[#「されど余は憲政黨の爲めに」に傍点]、單に形式的統一を望まず[#「單に
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