《いやし》いかも知《し》れません、笑止《をか》しければお笑《わら》ひ下《くだ》さい。然《しか》しです、新生活《しんせいくわつ》の曉《あかつき》は輝《かゞや》いて、正義《せいぎ》が勝《かち》を制《せい》するやうになれば、我々《われ/\》の町《まち》でも大《おほい》に祭《まつり》をして喜《よろこ》び祝《いは》ひませう。が、私《わたし》は其迄《それまで》は待《ま》たれません、其時分《そのじぶん》にはもう死《し》んで了《しま》ひます。誰《たれ》かの子《こ》か孫《まご》かは、遂《つい》に其時代《そのじだい》に遇《あ》ひませう。私《わたくし》は誠心《まごゝろ》を以《もつ》て彼等《かれら》を祝《しゆく》します、彼等《かれら》の爲《ため》に喜《よろこ》びます! 進《すゝ》め! 我《わ》が同胞《どうばう》! 神《かみ》は君等《きみら》に助《たすけ》を給《たま》はん!』と、イワン、デミトリチは眼《め》を輝《かゞや》かして立上《たちあが》り、窓《まど》の方《はう》に手《て》を伸《のば》して云《い》ふた。
『此《こ》の格子《こうし》の中《うち》より君等《きみら》を祝福《しゆくふく》せん、正義《せいぎ》萬歳《ば
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