其中《そのうち》に入《はひ》つてゐねばなりません、貴方《あなた》でなければ、私《わたくし》、でなければ、他《ほか》の者《もの》が。まあお待《ま》ちなさい、左樣《さやう》今《いま》に遙《はる》か遠《とほ》き未來《みらい》に、監獄《かんごく》だの、瘋癲病院《ふうてんびやうゐん》の全廢《ぜんぱい》された曉《あかつき》には、即《すなは》ち此《こ》の窓《まど》の鐵格子《てつがうし》も、此《こ》の病院服《びやうゐんふく》も、全《まつた》く無用《むよう》になつて了《しま》ひませう、無論《むろん》、然云《さうい》ふ時《とき》は早晩《さうばん》來《き》ませう。』
イワン、デミトリチはニヤリと冷笑《わら》つた。
『然《さう》でせう。』と、彼《かれ》は眼《め》を細《ほそ》めて云《い》ふた。『貴方《あなた》だの、貴方《あなた》の補助者《ほじよしや》のニキタなどのやうな、然云《さうい》ふ人間《にんげん》には、未來《みらい》などは何《なん》の要《えう》も無《な》い譯《わけ》です。で、貴方《あなた》は好《よ》い時代《じだい》が來《こ》やうと濟《すま》してもゐられるでせうが、いや、私《わたくし》の言《い》ふことは卑
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