《びやうき》の類別法《るゐべつはふ》、診斷《しんだん》、治療《ちれう》の方法《はうはふ》、共《とも》に皆是《みなこれ》を過去《くわこ》の精神病學《せいしんびやうがく》と比較《ひかく》するならば、其《そ》の差《さ》はエリボルスの山《やま》の如《ごと》き高大《かうだい》なるものである。現今《げんこん》では精神病者《せいしんびやうしや》の治療《ちれう》に冷水《れいすゐ》を注《そゝ》がぬ、蒸暑《むしあつ》きシヤツを被《き》せぬ、而《さう》して人間的《にんげんてき》に彼等《かれら》を取扱《とりあつか》ふ、即《すなは》ち新聞《しんぶん》に記載《きさい》する通《とほ》り、彼等《かれら》の爲《ため》に、演劇《えんげき》、舞踏《ぶたふ》を催《もよほ》す。
 彼《かれ》は又《また》恁《か》く思考《かんが》へた。
 現時《げんじ》の見解《けんかい》及《およ》び趣味《しゆみ》を見《み》るに、六|號室《がうしつ》の如《ごと》きは、誠《まこと》に見《み》るに忍《しの》びざる、厭惡《えんを》に堪《た》へざるものである。恁《かゝ》る病室《びやうしつ》は、鐵道《てつだう》を去《さ》ること、二百|露里《ヴエルスタ》の此《
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