云《い》ふた。而《さう》して彼《かれ》は昔《むかし》の生活《せいくわつ》が健全《けんぜん》で、愉快《ゆくわい》で、興味《きようみ》の有《あ》つたこと、其頃《そのころ》の上流社會《じやうりうしやくわい》には知識《ちしき》が有《あ》つたとか、又《また》其社會《そのしやくわい》では廉直《れんちよく》、友誼《いうぎ》を非常《ひじやう》に重《おも》んじてゐたとか、證文《しようもん》なしで錢《ぜに》を貸《か》したとか、貧窮《ひんきゆう》な友人《いうじん》に扶助《たすけ》を與《あた》へぬのを恥《はぢ》としてゐたとか、愉快《ゆくわい》な行軍《かうぐん》や、戰爭《せんさう》などの有《あ》つたこと、面白《おもしろ》い人間《にんげん》、面白《おもしろ》い婦人《ふじん》の有《あ》つたこと、又《また》高加索《カフカズ》と云《い》ふ所《ところ》は實《じつ》に好《い》い土地《とち》で、或《あ》る騎兵大隊長《きへいだいたいちやう》の夫人《ふじん》に變者《かはりもの》があつて、毎《いつ》でも身《み》に士官《しくわん》の服《ふく》を着《つ》けて、夜《よる》になると一人《ひとり》で、カフカズの山中《さんちゆう》を案内者《あ
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