ンドレイ、エヒミチに取《と》つては此《こ》の人間《ひと》計《ばか》りが、町中《まちゞゆう》で一人《ひとり》氣《き》の置《お》けぬ親友《しんいう》なので。ミハイル、アウエリヤヌヰチは元《もと》は富《と》んでゐた大地主《おほぢぬし》、騎兵隊《きへいたい》に屬《ぞく》してゐた者《もの》、然《しか》るに漸々《だん/\》身代《しんだい》を耗《す》つて了《しま》つて、貧乏《びんばふ》し、老年《らうねん》に成《な》つてから、遂《つひ》に此《こ》の郵便局《いうびんきよく》に入《はひ》つたので。至《いた》つて元氣《げんき》な、壯健《さうけん》な、立派《りつぱ》な白《しろ》い頬鬚《ほゝひげ》の、快活《くわいくわつ》な大聲《おほごゑ》の、而《しか》も氣《き》の善《よ》い、感情《かんじやう》の深《ふか》い人間《にんげん》である。然《しか》し又《また》極《ご》く腹立易《はらだちツぽ》い男《をとこ》で、誰《だれ》か郵便局《いうびんきよく》に來《き》た者《もの》で、反對《はんたい》でもするとか、同意《どうい》でも爲《せ》ぬとか、理屈《りくつ》でも並《なら》べやうものなら、眞赤《まつか》になつて、全身《ぜんしん》を顫
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