めいゝ》である、殊《こと》に小兒科《せうにくわ》、婦人科《ふじんくわ》に妙《めう》を得《え》てゐると言囃《いひはや》してゐた。が、彼《かれ》は年月《としつき》の經《た》つと共《とも》に、此事業《このじげふ》の單調《たんてう》なのと、明瞭《あきらか》に益《えき》の無《な》いのとを認《みと》めるに從《したが》つて、段々《だん/\》と厭《あ》きて來《き》た。彼《かれ》は思《おも》ふたのである。今日《けふ》は三十|人《にん》の患者《くわんじや》を受《う》ければ、明日《あす》は三十五|人《にん》來《く》る、明後日《あさつて》は四十|人《にん》に成《な》つて行《ゆ》く、恁《か》く毎日《まいにち》、毎月《まいげつ》同事《おなじこと》を繰返《くりかへ》し、打續《うちつゞ》けては行《ゆ》くものゝ、市中《まち》の死亡者《しばうしや》の數《すう》は決《けつ》して減《げん》じぬ。又《また》患者《くわんじや》の足《あし》も依然《いぜん》として門《もん》には絶《た》えぬ。朝《あさ》から午《ひる》まで來《く》る四十|人《にん》の患者《くわんじや》に、奈何《どう》して確實《かくじつ》な扶助《たすけ》を與《あた》へるこ
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