である、自家《じか》にゐたならば、猶更《なほさら》不自由《ふじいう》を爲《せ》ねばなるまいとか、地方自治體《ちはうじちたい》の補助《ほじよ》もなくて、町《まち》獨立《どくりつ》で立派《りつぱ》な病院《びやうゐん》の維持《ゐぢ》されやうは無《な》いとか、左《と》に右《かく》惡《わる》いながらも病院《びやうゐん》の有《あ》るのは無《な》いよりも増《まし》であるとかと。
 アンドレイ、エヒミチは院長《ゐんちやう》として其職《そのしよく》に就《つ》いた後《のち》恁《かゝ》る亂脈《らんみやく》に對《たい》して、果《はた》して是《これ》を如何樣《いかやう》に所置《しよち》したらう、敏捷《てきぱき》と院内《ゐんない》の秩序《ちつじよ》を改革《かいかく》したらうか。彼《かれ》は此《こ》の不順序《ふじゆんじよ》に對《たい》しては、さのみ氣《き》を留《と》めた樣子《やうす》はなく、唯《たゞ》看護婦《かんごふ》などの病室《びやうしつ》に寐《ね》ることを禁《きん》じ、機械《きかい》を入《い》れる戸棚《とだな》を二個《ふたつ》備付《そなへつ》けた計《ばか》りで、代診《だいしん》も、會計《くわいけい》も、洗濯婦《
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