の状態《じやうたい》にては、最《もつと》も有《あ》り有《う》べき事《こと》なので、總《そう》じて他人《たにん》の艱難《かんなん》に對《たい》しては、事務上《じむじやう》、職務上《しよくむじやう》の關係《くわんけい》を有《も》つてゐる人々《ひと/″\》、例《たと》へば裁判官《さいばんくわん》、警官《けいくわん》、醫師《いし》、とかと云《い》ふものは、年月《ねんげつ》の經過《けいくわ》すると共《とも》に、習慣《しふくわん》に依《よ》つて遂《つひ》には其相手《そのあいて》の被告《ひこく》、或《あるひ》は患者《くわんじや》に對《たい》して、單《たん》に形式以上《けいしきいじやう》の關係《くわんけい》を有《も》たぬやうに望《のぞ》んでも出來《でき》ぬやうに、此《こ》の習慣《しふくわん》と云《い》ふ奴《やつ》がさせて了《しま》ふ、早《はや》く言《い》へば彼等《かれら》は恰《あだか》も、庭《には》に立《た》つて羊《ひつじ》や、牛《うし》を屠《ほふ》り、其《そ》の血《ち》には氣《き》が着《つ》かぬ所《ところ》の劣等《れつとう》の人間《にんげん》と少《すこ》しも選《えら》ぶ所《ところ》は無《な》いのだ。
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