も殘念《ざんねん》な事《こと》だ、此《こ》の苦痛《くつう》な生活《せいくわつ》がオペラにあるやうな、アポテオズで終《をは》るのではなく、是《これ》があゝ死《し》で終《をは》るのだ。非人《ひにん》が來《き》て、死者《ししや》の手《て》や、足《あし》を捉《とら》へて穴《あな》の中《なか》に引込《ひきこ》んで了《しま》ふのだ、うツふ! だが何《なん》でもない……其換《そのかは》り俺《おれ》は彼《あ》の世《よ》から化《ば》けて來《き》て、此處《こゝ》らの奴等《やつら》を片端《かたツぱし》から嚇《おど》して呉《く》れる、皆《みんな》白髮《しらが》にして了《しま》つて遣《や》る。』
折《をり》しもモイセイカは外《そと》から歸《かへ》り來《きた》り、其處《そこ》に前院長《ぜんゐんちやう》のゐるのを見《み》て、直《すぐ》に手《て》を延《のば》し、
『一|錢《せん》お呉《くん》なさい!』
(十八)
アンドレイ、エヒミチは窓《まど》の所《ところ》に立《た》つて外《そと》を眺《なが》むれば、日《ひ》はもうとツぷり[#「とツぷり」に傍点]と暮《く》れ果《は》てゝ、那方《むかふ》の野廣《の
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