ん》とゐられやう、况《ま》して一|年《ねん》、二|年《ねん》など到底《たうてい》辛棒《しんぼう》をされるものでないと思《おも》ひ付《つ》いた。さう思《おも》へば益※[#二の字点、1−2−22]《ます/\》居堪《ゐたま》らず、衝《つ》と立《た》つて隅《すみ》から隅《すみ》へと歩《ある》いて見《み》る。『さうしてから奈何《どう》する、あゝ到底《たうてい》居堪《ゐたゝま》らぬ、這麼風《こんなふう》で一|生《しやう》!』
彼《かれ》はどつかり坐《すわ》つた、横《よこ》になつたが又《また》起直《おきなほ》る。而《さう》して袖《そで》で額《ひたひ》に流《なが》れる冷汗《ひやあせ》を拭《ふ》いたが顏中《かほぢゆう》燒魚《やきざかな》の腥※[#「月+亶」、第3水準1−90−52]《なまぐさ》い臭《にほひ》がして來《き》た。彼《かれ》は又《また》歩《ある》き出《だ》す。『何《なに》かの間違《まちが》ひだらう……話合《はなしあ》つて見《み》にや解《わか》らん、屹度《きつと》誤解《ごかい》が有《あ》るのだ。』
イワン、デミトリチはふと眼《め》を覺《さま》し、脱然《ぐつたり》とした樣子《やうす》で兩《りや
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