ん》として何《なに》も彼《か》も打明《うちあ》けます。』と、彼《かれ》は更《さら》に續《つゞ》けて。『全體《ぜんたい》君《きみ》は不自由《ふじいう》な生活《せいくわつ》をされてゐるので、家《いへ》と云《い》へば清潔《せいけつ》でなし、君《きみ》の世話《せわ》をする者《もの》は無《な》し、療治《れうぢ》をするには錢《ぜに》は無《な》し。ねえ君《きみ》、で我々《われ/\》は切《せつ》に君《きみ》に勸《すゝ》めるのだ。何卒《どうぞ》是非《ぜひ》一つ聽《き》いて頂《いたゞ》きたい、と云《い》ふのは、實《じつ》は然云《さうい》ふ譯《わけ》であるから、寧《むしろ》君《きみ》は病院《びやうゐん》に入《はひ》られた方《はう》が得策《とくさく》であらうと考《かんが》へたのです。ねえ君《きみ》、病院《びやうゐん》は未《ま》だ比較的《ひかくてき》、食物《しよくもつ》は好《よ》し、看護婦《かんごふ》はゐる、エウゲニイ、フエオドロヰチもゐる。其《そ》れは勿論《もちろん》、是《これ》は我々丈《われ/\だけ》の話《はなし》だが、彼《かれ》は餘《あま》り尊敬《そんけい》をすべき人格《じんかく》の男《をとこ》では無《な
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