でも有《あ》りませんさ、なあ同僚《どうれう》。悲觀《ひくわん》ももう大抵《たいてい》になさるが可《い》いですぞ。』
『我々《われ/\》は未《ま》だ隱居《いんきよ》するには早《はや》いです。ハヽヽ左樣《さう》でせうドクトル、未《ま》だ隱居《いんきよ》するのには。』郵便局長《いうびんきよくちやう》は云《い》ふ。
『來年《らいねん》邊《あたり》はカフカズへ出掛《でか》けやうぢや有《あ》りませんか、乘馬《じようば》で以《もつ》てからに彼方此方《あちこち》を驅廻《かけまは》りませう。而《さう》してカフカズから歸《かへ》つたら、此度《こんど》は結婚《けつこん》の祝宴《しゆくえん》でも擧《あ》げるやうになりませう。』と片眼《かため》をパチ/\して。『是非《ぜひ》一つ君《きみ》を結婚《けつこん》させやう……ねえ、結婚《けつこん》を。』
アンドレイ、エヒミチはむかツと[#「むかツと」に傍点]して立上《たちあが》つた。
『失敬《しつけい》な!』と、一言《ひとこと》叫《さけ》ぶなりドクトルは窓《まど》の方《はう》に身《み》を退《よ》け。『全體《ぜんたい》貴方々《あなたがた》は這麼失敬《こんなしつけい》な事
前へ
次へ
全197ページ中163ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
チェーホフ アントン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング