ンドレイ、エヒミチは猶且《やはり》例《れい》の長椅子《ながいす》の上《うへ》。すると丁度《ちやうど》ハヾトフもブローミウム加里《カリ》の壜《びん》を携《たづさ》へて遣《や》つて來《き》た。アンドレイ、エヒミチは重《おも》さうに、辛《つら》さうに身《み》を起《おこ》して腰《こし》を掛《か》け、長椅子《ながいす》の上《うへ》に兩手《りやうて》を突張《つツぱ》る。
『いや今日《こんにち》は、おゝ君《きみ》は今日《けふ》は顏色《かほいろ》が昨日《きのふ》よりも又《また》ずツと可《い》いですよ。まづ結構《けつこう》だ。』と、ミハイル、アウエリヤヌヰチは挨拶《あいさつ》する。
『もう全快《ぜんくわい》しても可《い》いでせう。』とハヾトフは欠《あくび》をしながら言《ことば》を添《そ》へる、
『平癒《なほ》りますとも、而《さう》してもう百|年《ねん》も生《い》きまさあ。』と、郵便局長《いうびんきよくちやう》は愉快氣《ゆくわいげ》に云《い》ふ。
『百|年《ねん》てさうも行《ゆ》かんでせうが、二十|年《ねん》や其邊《そこら》は生《い》き延《の》びますよ。』ハヾトフは慰《なぐさ》め顏《がほ》。『何《なん》ん
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