を見下《みさげ》るやうな樣子《やうす》、彼《かれ》を呼《よ》んで同僚《どうれう》と云《い》ふ言《ことば》、深《ふか》い長靴《ながぐつ》、此等《これら》は皆《みな》氣障《きざ》でならなかつたが、殊《こと》に癪《しやく》に障《さは》るのは、彼《かれ》を治療《ちれう》する事《こと》を自分《じぶん》の務《つとめ》として、眞面目《まじめ》に治療《ちれう》をしてゐる意《つもり》なのが。で、ハヾトフは訪問《はうもん》をする度《たび》に、屹度《きつと》ブローミウム加里《カリ》の入《はひ》つた壜《びん》と、大黄《だいおう》の丸藥《ぐわんやく》とを持《も》つて來《く》る。
ミハイル、アウエリヤヌヰチも猶且《やはり》、初中終《しよつちゆう》、アンドレイ、エヒミチを訪問《たづ》ねて來《き》て、氣晴《きばらし》を爲《さ》せることが自分《じぶん》の義務《ぎむ》と心得《こゝろえ》てゐる。で、來《く》ると、宛然《まるで》空々《そら/″\》しい無理《むり》な元氣《げんき》を出《だ》して、強《し》ひて高笑《たかわらひ》をして見《み》たり、今日《けふ》は非常《ひじやう》に顏色《かほいろ》が好《い》いとか、何《なん》とか、
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