さう》を弄《ろう》して、興味《きようみ》をさへ添《そ》へしめてゐた。
彼《かれ》は其後《そのご》病院《びやうゐん》に二|度《ど》イワン、デミトリチを尋《たづ》ねたので有《あ》るがイワン、デミトリチは二|度《ど》ながら非常《ひじやう》に興奮《こうふん》して、激昂《げきかう》してゐた樣子《やうす》で、饒舌《しやべ》る事《こと》はもう飽《あ》きたと云《い》つて彼《かれ》を拒絶《きよぜつ》する。彼《かれ》は詮方《せんかた》なくお眠《やす》みなさい、とか、左樣《さやう》なら、とか云《い》つて出《で》て來《こ》やうとすれば、『勝手《かつて》にしやがれ。』と怒鳴《どな》り付《つ》ける權幕《けんまく》。ドクトルも其《そ》れからは行《ゆ》くのを見合《みあ》はせてはゐるものゝ、猶且《やはり》行《ゆ》き度《た》く思《おも》ふてゐた。
前《さき》には彼《かれ》は中食後《ちうじきご》は、屹度《きつと》室《へや》の隅《すみ》から隅《すみ》へと歩《ある》いて考《かんが》へに沈《しづ》んでゐるのが常《つね》で有《あ》つたが、此《こ》の頃《ごろ》は中食《ちうじき》から晩《ばん》の茶《ちや》の時迄《ときまで》は、長椅
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