終日《しゆうじつ》相變《あひかは》らず長椅子《ながいす》の上《うへ》に轉《ころ》がり、相變《あひかは》らず友《とも》の擧動《きよどう》に愛想《あいさう》を盡《つ》かしてゐる。ミハイル、アウエリヤヌヰチは一人《ひとり》して元氣可《げんきよ》く、朝《あさ》から晩迄《ばんまで》町《まち》を遊《あそ》び歩《ある》き、舊友《きういう》を尋《たづ》ね廻《まは》り、宿《やど》には數度《すうど》も歸《かへ》らぬ夜《よ》が有《あ》つた位《くらゐ》。と、或朝《あるあさ》早《はや》く非常《ひじやう》に興奮《こうふん》した樣子《やうす》で、眞赤《まつか》な顏《かほ》をし、髮《かみ》も茫々《ばう/\》として宿《やど》に歸《かへ》つて來《き》た。而《さう》して何《なに》か獨語《ひとりごと》しながら、室内《しつない》を隅《すみ》から隅《すみ》へと急《いそ》いで歩《ある》く。
『名譽《めいよ》は大事《だいじ》だ。』
『然《さ》うだ名譽《めいよ》が大切《たいせつ》だ。全體《ぜんたい》這麼町《こんなまち》に足《あし》を踏込《ふみこ》んだのが間違《まちが》ひだつた。』と、彼《かれ》は更《さら》にドクトルに向《むか》つて云《
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