まち》の一|番《ばん》の大通《おほどほり》に、自分《じぶん》の家《いへ》を所有《も》つてゐたグロモフと云《い》ふ、容貌《ようばう》の立派《りつぱ》な、金滿《かねもち》の官吏《くわんり》が有《あ》つて、家《いへ》にはセルゲイ及《およ》びイワンと云《い》ふ二人《ふたり》の息子《むすこ》もある。所《ところ》が、長子《ちやうし》のセルゲイは丁度《ちやうど》大學《だいがく》の四|年級《ねんきふ》になつてから、急性《きふせい》の肺病《はいびやう》に罹《かゝ》り死亡《しばう》して了《しま》ふ。是《これ》よりグロモフの家《いへ》には、不幸《ふかう》が引續《ひきつゞ》いて來《き》てセルゲイの葬式《さうしき》の終《す》んだ一|週間《しうかん》目《め》、父《ちゝ》のグロモフは詐欺《さぎ》と、浪費《らうひ》との件《かど》を以《もつ》て裁判《さいばん》に渡《わた》され、間《ま》もなく監獄《かんごく》の病院《びやうゐん》でチブスに罹《かゝ》つて死亡《しばう》して了《しま》つた。で、其家《そのいへ》と總《すべて》の什具《じふぐ》とは、棄賣《すてうり》に拂《はら》はれて、イワン、デミトリチと其母親《そのはゝおや》とは
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