ゐる這麼町《こんなまち》から、少《すこ》しでも出《で》て見《み》たらば、とも思《おも》ふので有《あ》つた。
『然《しか》し貴方《あなた》は一|體《たい》何處《どこ》へお出掛《でか》けにならうと云《い》ふのです?』院長《ゐんちやう》は問《と》ふた。
『モスクワへも、ペテルブルグへも、ワルシヤワへも……ワルシヤワは實《じつ》に好《よ》い所《ところ》です、私《わたし》が幸福《かうふく》の五|年間《ねんかん》は彼處《あすこ》で送《おく》つたのでした、其《そ》れは好《い》い町《まち》です、是非《ぜひ》行《ゆ》きませう、ねえ君《きみ》。』

       (十三)

 一|週間《しうかん》を經《へ》てアンドレイ、エヒミチは、病院《びやうゐん》から辭職《じしよく》の勸告《くわんこく》を受《う》けたが、彼《かれ》は其《そ》れに對《たい》しては至《いた》つて平氣《へいき》であつた。恁《か》くて又《また》一|週間《しうかん》を過《す》ぎ、遂《つひ》にミハイル、アウエリヤヌヰチと共《とも》に郵便《いうびん》の旅馬車《たびばしや》に打乘《うちの》り、近《ちか》き鐵道《てつだう》のステーシヨンを差《さ》して、旅
前へ 次へ
全197ページ中140ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
チェーホフ アントン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング