くらゐ》。イワン、デミトリチは初《はじ》めの中《うち》は院長《ゐんちやう》が野心《やしん》でも有《あ》るのでは無《な》いかと疑《うたが》つて、彼《かれ》に左右《とかく》遠《とほ》ざかつて、不愛想《ぶあいさう》にしてゐたが、段々《だん/\》慣《な》れて、遂《つひ》には全《まつた》く素振《そぶり》を變《か》へたので有《あ》つた。
然《しか》るに病院《びやうゐん》の中《うち》では院長《ゐんちやう》アンドレイ、エヒミチが六|號室《がうしつ》に切《しきり》に通《かよ》ひ出《だ》したのを怪《あやし》んで、其評判《そのひやうばん》が高《たか》くなり、代診《だいしん》も、看護婦《かんごふ》も、一|樣《やう》に何《なん》の爲《ため》に行《ゆ》くのか、何《なん》で數時間餘《すうじかんよ》も那麼處《あんなところ》にゐるのか、甚麼話《どんなはなし》を爲《す》るので有《あ》らうか、彼處《かしこ》へ行《い》つても處方書《しよはうがき》を示《しめ》さぬでは無《な》いかと、彼方《あつち》でも、此方《こつち》でも、彼《かれ》が近頃《ちかごろ》の奇《き》なる擧動《きよどう》の評判《ひやうばん》で持切《もちき》つてゐる始
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