。』
『或《あるひ》は叫《さけ》ばんかも知《し》れません。』と、アンドレイ、エヒミチは言《い》ふ。
『那樣事《そんなこと》は無《な》い、例《たと》へば御覽《ごらん》なさい、貴方《あなた》が中風《ちゆうぶ》にでも罹《かゝ》つたとか、或《あるひ》は假《かり》に愚者《ぐしや》が自分《じぶん》の位置《ゐち》を利用《りよう》して貴方《あなた》を公然《こうぜん》辱《はづか》しめて置《お》いて、其《そ》れが後《のち》に何《なん》の報《むくい》も無《な》しに濟《す》んで了《しま》つたのを知《し》つたならば、其時《そのとき》貴方《あなた》は他《た》の人《ひと》に、解悟《かいご》に向《むか》ひなさいとか、眞正《しんせい》の幸福《かうふく》に向《むか》ひなさいとか云《い》ふ事《こと》の効力《かうりよく》が果《はた》して、何程《なにほど》と云《い》ふことが解《わか》りませう。』
『これは奇拔《きばつ》だ。』と院長《ゐんちやう》は滿足《まんぞく》の餘《あま》り微笑《びせう》しながら、兩手《りやうて》を擦《こす》り/\云《い》ふ。『私《わたくし》は貴方《あなた》が總《すべ》てを綜合《そうがふ》する傾向《けいかう》
前へ
次へ
全197ページ中123ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
チェーホフ アントン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング