ぐさ》は、皆《みな》ロシヤの怠惰者《なまけもの》に適當《てきたう》してゐる哲學《てつがく》です。で、貴方《あなた》は恁《か》うなのだ、先《ま》づ齒《は》が痛《いた》むと云《い》ふ農婦《のうふ》が來《く》る……と、其《そ》れが奈何《どう》したのだ。疼痛《とうつう》は疼痛《とうつう》の事《こと》の思想《しさう》である。且又《かつまた》、病氣《びやうき》が無《な》くては此《こ》の世《よ》に生《い》きて行《ゆ》く譯《わけ》には行《ゆ》かぬものだ。早《はや》く歸《かへ》るべし。俺《おれ》の思想《しさう》とヴオツカを呑《の》む邪魔《じやま》を爲《す》るな。と恁《か》う云《い》ふでせう。又《また》或《ある》若者《わかもの》が來《き》て奈何云《どうい》ふ風《ふう》に生活《せいくわつ》を爲《し》たら可《い》いかと相談《さうだん》を掛《か》けられる、と、他人《たにん》は先《ま》づ一|番《ばん》考《かんが》へる所《ところ》で有《あ》らうが、貴方《あなた》には其答《そのこたへ》はもう丁《ちやん》と出來《でき》てゐる。解悟《かいご》に向《むか》ひなさい、眞正《しんせい》の幸福《かうふく》に向《むか》ひなさい。と
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