《おこな》はれて、他《た》の多數《たすう》の者《もの》は其《そ》れを了解《れうかい》しなかつたのです。苦痛《くつう》を輕蔑《けいべつ》すると云《い》ふ事《こと》は、多數《たすう》の人《ひと》に取《と》つたならば、即《すなは》ち生活《せいくわつ》其物《そのもの》を輕蔑《けいべつ》すると云《い》ふ事《こと》になる。如何《いかん》となれば、人間《にんげん》全體《ぜんたい》は、餓《うゑ》だとか、寒《さむさ》だとか、凌辱《はづかし》めだとか、損失《そんしつ》だとか、死《し》に對《たい》するハムレツト的《てき》の恐怖《おそれ》などの感覺《かんかく》から成立《なりた》つてゐるのです。此《こ》の感覺《かんかく》の中《うち》に於《おい》て人生《じんせい》全體《ぜんたい》が含《ふく》まつてゐるのです。之《これ》を苦《く》にする事《こと》、惡《にく》む事《こと》は出來《でき》ます。が、之《これ》を輕蔑《けいべつ》する事《こと》は出來《でき》んです。で有《あ》るから、ストア派《は》の哲學者《てつがくしや》は未來《みらい》を有《も》つ事《こと》が出來《でき》んのです。御覽《ごらん》なさい、世界《せかい》の始《は
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