ことがあるのを、大袈裟に云つたんだわ、きつと……。
州太 お前も運の悪い女だ。
二葉 運が悪いんぢやないわ。あたしが悪るかつたのよ。でも、可笑しいもんね。一番自分に近い人間に、一番ほんとのことが云へないなんて……。
州太 ほんたうのことゝいふのは、一番聞きづらいことだからさ。だが、これから、わしは、お前になんでも本当のことを云ふからね。
二葉 あたしもさうするわ。
州太 あゝ、さうしてくれ。さうしてくれゝば、わしはもう、なんの苦労もない。
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長い間。
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州太 あの音を聴いて御覧……。
二葉 ……。
州太 なあ、おい、二葉……。
二葉 (慄然と、跳び退く様な身構へで)いやよ、そんな声して……、気味が悪いから……。
州太 なるほど、お前には、もうわしの云はうとしてることがわかると見える……。
二葉 お父さんつたら……。
州太 かういふ云ひ方をしては不味《まづ》いな。しかし、今日、家《うち》を出る時、お前はどうしてあんなにはしやいでゐたんだ。わしも、出来るだけ平静を装つてゐ
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