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とね、奥にはひる。
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州太 二葉、そんなことしてないで、こつちを向いて御覧。袖を下へおろしなさい。わしの顔をみて……。お前には、物の道理がわかつてる筈だ。あんな女、何を云つたつて放つとけ。(さう云ひながら、卓子の上の郵便物に一と通り眼を通す)
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遠くで雷の音。
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州太 此処へ来て坐りなさい。どうだ、山もそろそろ飽きて来たらう。少し涼しくなつたら、何処かの温泉へ行かう。お前が退屈してるのを見ると、わしは気が気ぢやない。たまには、軽井沢の町へでも遊びに行つて来るといゝ。
二葉 ……。
州太 近頃は、この通り忙しいんで、ゆつくりお前の相手にもなつてをれんが、なにか面白くないことでもあるんぢやないか。
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とねが、麦酒を持つて来る。
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とね (麦酒を注ぎながら)二葉さんも、一杯いかゞ?
二葉 (首
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