の憂欝は、もはや、一刀両断の処置しかありませんが、恋愛をして病にまで昂じさせない予防薬は、恐らく青年としての「矜り」と「嗜み」でありませう。
 淡い憂欝の色が、その誇らかな容姿を透して、ふと、青年男女に、一種重厚な感じを与へてゐる例が間々あります。沈痛な面持ちとでも云ふべきものです。
 その憂欝の来るところを知る由もないのですが、或は、真面目な恋愛をしてゐるのではないかと、ふと気を廻してみたくもなります。
 しかし、間違ひのないことは、かういふ青年男女が、おほかたは、数々の美しい夢に胸をふくらませてゐるといふことです。
「夢」の美しさは、決して楽天主義の明一色ではありません。幾多の苦難を苦難として迎へようとする殉教者の覚悟と、理想の高きを攀ぢ、秘境の深きを探る開拓者の根気との燻《いぶ》し銀を交へた、明暗多彩な刺繍図であります。濁りなき青年の瞳が、一つ時曇つたとみえるほどの「憂欝」の影は、却つて、明鏡の物をよく映すに似て頼もしく、その銀色の「憂欝」こそ、白煙となつて立ち昇れば、破邪顕正の剣を呑んで、現実の醜敵と刺し違へる雄々しい憤りとなるでありませう。

 とは云へ、これも出来ることなら
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