青年の夢と憂欝
――力としての文化 第五話
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)翳《かげ》を
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)天|翔《か》ける
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#7字下げ]一[#「一」は中見出し]
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[#7字下げ]一[#「一」は中見出し]
青春は夢多き時代です。
青年には夢がなければなりません。
青年の夢は美しく、そして遥かであります。
「夢」とはいつたいなんでせうか。
こゝではもちろん、睡眠中の夢を指すのではありません。
頭がはつきりしてゐる時に、その頭の中を去来する幻の如き想念を指すのですが、しかもその想ひは、常に希望となつて輝き、情熱となつて燃えあがるていのものであります。
「夢」は「現実」に対して、「かくありたいもの」の最上のすがたなのですが、それは未来の現実となり得るもの、少くとも、その可能性を含んだものであつて、まさに、現実とつながる生命をもつたものです。
夢は空漠たるものです。そして、甚だ気紛れであります。或る時は、鮮やかな輪郭をもつて眼前に髣髴た
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