のとも、また悪意のあるものとも断ずることはできませんが、「夢」に逆ふ現実の力は、苛酷であり、圧倒的であります。青年の「夢」は、如何に美しくても、首を横にふる現実の前では、如何ともしがたいのです。かゝる現実との血みどろの闘ひも、本来は、青年の「夢」の筋書には書き込まれてゐなければならないのですが、青年には、悲しいかな、現実の予想され得る挑戦にすら、これに応ずる万全の備へといふものがないのです。
「夢」を夢みることもできず、現実の暴威の前に、一切の勇気と笑ひとを失つた青少年の姿ほど痛ましいものはありませんが、それにも増して、「夢」とも云へぬ小ざかしい「妄想」を心の隅に抱き、ひとたび現実に立ち向つてそれが吹き飛ばされるや、めそめそと泣面をかくやうな手合こそ、世にも憐れな存在と云ふべきであります。かゝる「憂欝」はこゝで論ずる限りではありません。
努めて現実を直視し、しかも、現実の彼方に夢を求めて、青春の血を沸きたゝせることは、その現実の峻厳な批判と抵抗とにひとたびは夢を破られても、決して、ひるむことを知らぬ果敢な精神の発露でなければなりません。
この時、憂欝はむしろ、自己の力の過信と不明
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