を運んで来るのであるが、途中、十二※[#「土へん+于」、第4水準2−4−61]といふ有名な塩の集散地で、同時に、地区隊の一部が守備してゐる地点に立寄り、更に、そこから北は天津まで通じてゐるといふ大運河を遡つて楊州に還り着く予定である。
 前にも述べたとほり、大熊部隊長は私の同期であるが、三十年近くお互にはなればなれになつてゐたのだから、かういふ場所で整然たる公式の儀礼のなかに立つた彼の堂々たる部隊長振りをみることは、私にとつては感慨にたへないものがある。
 発動汽船は蘆の密生した洲の間をぬけて河を上つた。
「この蘆で紙を作る計画があるんですが……」
 と、小川部隊長が説明する。
「この辺は景色がいゝね。あれが金山寺の塔か」
 と、大熊部隊長は遠ざかる岸の方を振り返る。
 昨日の討伐の話が出る。
「ひとつ、軍旗を奉じて大々的にやりたいですな」
 と、小川部隊長が腕を撫するやうに云ふと、
「うん、だが……」
 相手が相手ではと、大熊部隊長の顔は答へてゐる。
「あゝさう云へば、○○が戦死した」
 と、大熊部隊長が想ひ出したやうに云ふ。
「あ、さうでした。残念でした」
 と、小川部隊長が悲痛な
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